伊勢原・秦野・県西学区の高校の音楽の先生による演奏会です。１8回目になります｡
私も以前、この地区で教壇に立っていた関係で時々お声をかけて頂いています｡
今回は以下の４曲を演奏いたします｡ヴォルフは去年のリサイタルで歌わなかったものです。
ピアノは大石あかねさん（武蔵野音大大学院修了)。

「イタリア歌曲集」（フーゴー・ヴォルフ）より

第25曲「恋人が私を食事に招いた」

第40曲「ああ、あなたの家がガラスのように透けて見えたら」

第43曲「ちょっと黙ったらどう、しつこいお喋り屋さん！」

「うた」より「死んだ男の残したものは」（詩；谷川俊太郎、曲；武満徹）

以下解説と歌詞です。

「イタリア歌曲集」は、イタリア語からドイツ語に訳された詩集から46編が選ばれている。作曲は今年没後100年のフーゴー・ヴォルフ。その中から女性によって歌われる曲を3曲。

「恋人が私を食事に招いた」（第25曲）

私の恋人が私を食事に招いた、
私を招んでも恥ずかしくないような家もないくせに、煮たり焼いたりする薪もかまどもないくせに、
お皿だってとっくに割れてしまって無いのよ。
ワインの入った樽だって持ってないくせに、使えるようなグラスだって全然無いくせに、
テーブルだって貧弱、テーブルクロスも似たようなもの、
パンは石のように固いし、ナイフも切れ味さっぱりなんだもの。

「ああ、あなたの家がガラスのように透けて見えたら」（第40曲）

いとしい人、私があなたの家の前を通る時、ああ、貴方の家がガラスのように透けて見えたら
私は貴方の姿を覗き込んでばかりいるでしょう！ 本当に無我夢中で眺めてばかりいることでしょう！
私は目を凝らして貴方を見つめ続けることでしょう！ 雪どけの川の流れの水滴を集めたよりも多くの目で！
私は貴方を見つめてばかりいるでしょう！雨となって降り注ぐ水滴を集めたよりも多くの眼で！

「ちょっと黙ったらどう、しつこいお喋り屋さん！」（第43曲）

ちょっと黙ったらどう、しつこいお喋り屋さん！あんたの下手っぴいな歌は聞いただけでも胸がむかつくわ、
そんなの朝から晩まで歌い続けていたって ちっともいい歌になんかなりゃしないわよ。
さあお喋りはやめて寝ちまったらどう！ロバの歌うセレナーデの方がまだましだわよ！

「死んだ男の残したものは」作曲は1996年に没した現代の巨匠・武満徹。
彼の作品「ノヴェンバー・ステップス」「翼」は教科書にも採用されている。
「死んだ・・」は、「翼」も含まれている曲集「うた」の中の1曲。詩はやはり現代を代表する詩人の一人・谷川俊太郎。
元々は「ベトナムの平和を願う市民集会」のために1965年に作曲されたもの。

他の主な曲目：
スケルツオ第2番（ショパン）、トロンポーンソナタ（ヴィヴァルデイ）
むこうむこう（中田喜直）、浜辺の歌、六段の調（八橋検校）他
オペラアリア・リコーダーアンサンブル・ヴィオラなどもあります｡